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SAカレッジ22年度 コースⅢ第6回月例会は、中谷友樹 教授です!

作成者: SAC事務局|Sep 1, 2022 1:00:00 AM

地理学と健康科学をつなぐ融合領域の研究者

 

SAカレッジ22年度 コースⅢ第6回月例会は、大学院環境科学研究科 先端環境創成学専攻 都市環境・環境地理学講座 環境地理学分野 教授である中谷友樹先生。講義テーマは「COVID-19流行の時空間推移と人の動き」です

 

感染症を含む健康問題の解決には、ジョン・スノウのコレラマップをはじめ、古くから地図が活用されてきました。地図は現在にあってはデジタル化されGIS(地理情報システム)と呼ばれる情報ツール上で運用されます。このシステムはCOVID-19に対し、どのように活用され、何を明らかにしたのでしょうか。

本講義では、まず感染の発生にみられる時空間的なパターンに着目し、大都市での流行の持続性に着目します。またCOVID-19の流行に関して社会的に注目を集めたものが、人の動きの地理情報(人流データ)です。人の移動が感染を引き起こす接触と関連する一方で、各種の移動制限(入国制限、移動自粛要請など)が流行の抑制手段として実施されています。

これらにより身体活動の不足や精神的健康の悪化など健康に関する別の問題が懸念されるようになりました。こうした経験を経て、人の動きや地理情報の観点から健康な都市をデザインする論点も議論します。ウィズコロナ/ポストコロナの都市づくりを考える絶好の機会です。

 

中谷研究室について

 

「GIScience、健康地理学、空間疫学、犯罪分析」

中谷研究室では、人文地理学の広い範囲をカバーする有益な分析的応用研究により、革新的な GIS 科学アプローチを作成することを目的としています。

また、データ解析研究を推進し、特に健康地理学/空間疫学、犯罪の空間分析に関する領域での研究プロジェクトを重点的に進めています。

☞中谷教授研究室 TOMOKI NAKAYA LAB


Web アプリ: COVID-19 の時空間ケース密度マップ

Web アプリケーション「COVID-19 の時空間ケース密度マップ」は、日本における新型コロナ感染症 (COVID-19) の発生の時空間的な広がりを視覚化します。この時空間マップにおける新型コロナウイルス感染症の発生場所は、商業施設、レストラン、病院、オフィスなどのさまざまな施設における発生の任意の地理的情報 (JX プレス株式会社による) から得られたものであり、縦軸は発作の時期。このマップは、進行中のアウトブレイクと過去のアウトブレイクのリスク分布を高解像度の時空領域で提供します。JXプレスが提供するAPIのおかげで、地図はほぼ毎日自動更新されています。

☞Web アプリケーション「COVID-19 の時空間ケース密度マップ」についてはこちら

 

ビッグデータ・空間疫学から見た健康格差(医学界新聞より)

医学界新聞では、日本の健康格差の実態についての対談が、2016年10月に掲載されています。

平成12年より12年間推進された「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」は、基本方針が見直され全部改正(健康日本21(第2次))が告示。改正のポイントとなる「健康寿命の延伸」と「健康格差の縮小」のうち、健康格差についての対談が、医学界新聞に掲載されています。医学・健康地理学での空間疫学分析・GIS研究の発展に寄与されている中谷先生と、社会疫学の研究をされている京都大学教授 近藤尚己先生との、日本の健康格差の実態についての非常に興味深い対談となっております。

☞記事全文はこちら

 

このように中谷先生は、空間データの解析や視覚化に関する基礎研究を進めると同時に、健康の地理的な格差を描き出す地図学や地理的環境と身体活動・精神的健康等の関連性を明らかにする健康地理学の領域を展開されています。いわば、地理学と健康科学をつなぐ融合領域の研究者でいらっしゃいます。中谷先生ご登壇のコースⅢ第6回月例会 質疑セッションは9月20日です!


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