SAカレッジ22年度 コースⅢ第4回月例会は、児玉栄一 教授「抗ウイルス剤の開発とその応用」です。
児玉先生のご専門は、創薬学・ウイルス学・感染症学・感染制御学です。抗HIV-1剤エルビテグラビルや、イスラトラビルの開発に成功している先生は、抗がん剤、抗菌剤開発も行われています。また、東北大学病院に留まらず、全学レベルの感染管理や地域医療支援、災害医療についても担当され、幅広く活動されています。
これまで行われたプロジェクト (感染制御インテリジェンスネットワーク寄付講座HPより)
本月例会講義セッションでは、新型コロナウイルス対策として注目を浴びている抗ウイルス剤についてお話がありました。抗ウイルス薬開発は、1980年代に臨床応用された抗ヘルペス薬である「アシクロビル」の効果と安全性から、急速に加速しました。エイズ治療薬に引き続き、インフルエンザ治療薬が開発され、C型肝炎に至っては治癒、つまりウイルスの完全排除に到達しました。一方で、抗ウイルス薬は治療だけでなく、予防投与という新たな機能も加わりました。新型コロナウイルス治療においてはドラッグリポジショニング(既存薬再開発)が急速に広まっています。ドラッグリポジショニング(既存薬再開発)とは、既存の疾患に有効な治療薬から、別の疾患に有効な薬効を見つけ出すことです。グローバル化が推し進められている現代、これまでの感染対策とワクチンに加えて、3本目の矢としての抗ウイルス薬についての最新動向を聞くことができました。