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SAカレッジコースⅡ第4回月例会にご登壇の中瀬 泰然 准教授らによるプレスリリースが発表されています。

2022年11月02日

中瀬 泰然 准教授らによる研究成果が、2022年10月24日 日経BP社web Beyond Healthに掲載されました。後方視的研究の結果であり、詳細は「CNS Neuroscience & Therapeutics」に8月8日掲載されました。(以下抜粋)

 

便秘で認知機能低下が速まる可能性

 

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中瀬氏らの研究は、2015~2020年に東北大学病院加齢・老年病科の初診患者のうち、ADまたはMCIと診断され、脳MRI検査や認知機能の評価が2021年までに2回以上実施されていて経時的な変化を追跡可能であり、かつ便秘の有無が把握されている患者84人を対象に行われた。便秘については、ガイドラインの診断基準に則して20人が便秘あり、64人はなしと診断された。認知機能の変化は、認知症のスクリーニングに用いられているMMSEという指標と、ADの経過の把握に用いられるADAS-Cogという計2種類の指標で評価した。また脳MRI検査では、記憶に関わる海馬の体積と、虚血によって生じる深部白質病変などを評価した。

 解析対象者の主な特徴は、年齢77.4±6.5歳、女性57.1%、AD45.2%、要介護者23.8%、MMSE24.7±3.7、ADAS-Cog11.8±5.2であり、19.0%に副作用で便秘を起こしやすい抗コリン薬が処方されていた。便秘あり群となし群を比較すると、便秘あり群では心疾患が多い、脂質異常症が少ない、ホモシステインが高いという有意差が見られたが、その他に評価した、年齢、女性やAD・要介護者の割合、MMSE、ADAS-Cog、教育歴、海馬体積、深部白質病変などの群間差は非有意だった。

 

 平均17.4±10.7カ月の追跡期間中のMMSEの変化は、便秘の有無にかかわらず追跡期間との有意な相関が見られなかった。しかしADAS-Cogについては便秘あり群、なし群ともに、追跡期間の長い患者ほどより大きく低下しているという有意な相関が認められた。そしてADAS-Cog低下速度は、便秘なし群に比べてあり群の方が2.74倍速いと計算された。

 一方、脳MRI検査が2回施行されていた患者は67人(解析対象の79.8%)であり、便秘あり群17人、なし群50人だった。追跡期間中に海馬の体積は両群ともに有意に減少しており、減少速度に有意差はなかった。しかし深部白質病変については、その拡大速度が便秘あり群で1.65倍速いと計算された。

 次に、ADAS-Cogおよび深部白質病変の1年あたりの変化と、便秘、脂質異常症、心疾患、ホモシステイン、糖尿病との関連を検討。その結果、便秘のみが有意に相関することがわかった〔スピアマン順位相関係数がADAS-Cogは0.2387(P=0.0288)、深部白質病変は0.2252(P=0.0395)〕。ただし、混合効果モデルでは、便秘も含めて全てが非有意だった。(後略、抜粋以上)[HealthDay News 2022年10月24日より]

 

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