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東北大学病院の広報誌「hesso」に中瀬先生が寄稿されています

2022年09月06日

「hesso」(へっそ)8月31日発行 特集「物忘れ」

 

東北大学病院広報誌「hesso」

広報誌「hesso」(へっそ)は東北大学病院の広報誌です。病院の取り組みやスタッフの紹介、ニュース、地域医療情報など様々な情報を地域のみなさまに発信しています。
8月31日発行の特集は「物忘れ」。SAカレッジコースⅡ第4回月例会にご登壇された、加齢・老年病科長の中瀬泰然先生が、「老化現象と記憶力」を寄稿されています。(以下抜粋)

 

「もの忘れ」は、どの程度までが「年のせい」でどこからが「認知症」なのでしょうか

年を取ると記憶力が落ちてきます。実際、ヒトの記憶力は20歳ごろが一番高く、その後は徐々に低下していくことが分かっています。記憶力が低下するといわゆる「もの忘れ」といわれる状態が訪れます。そのため「もの忘れ」は加齢現象でもある訳ですが、病的に「もの忘れ」が進んでいる状態が認知症、特にアルツハイマー型認知症ということになります。
ではどの程度までが「年のせい」でどこからが「認知症」なのでしょうか。多くの場合、認知症は突然発症しません。また、「長谷川式認知症スケール」など記憶力を主とする認知機能を測るさまざまな簡易テストの点数だけで認知症を診断することもできません。徐々に記憶力が低下することに加えて、注意力や判断実行能力などの認知機能が低下して、日常生活に支障が生じてきた段階で「認知症」と診断されます。したがって、記憶力が低下して「なかなか思い出せない」、「聞いたことをすぐ忘れる」場合でも、時間がたてば思い出せたり、いつもではなく時々忘れたりする程度であれば「年のせい」ということになります。
 

老化現象以上に記憶力低下を悪化させる要因とは

この記憶力低下を老化現象以上に悪化させる要因があります。動脈硬化やストレスです。高血圧や糖尿病などで動脈硬化が進行したり、暴飲暴食や睡眠不足でストレスがたまってきたりすると認知症の原因となる老廃物(アミロイドβタンパクや異常タウタンパクなど)が脳にたまりやすくなります。さらに最近の研究から、心臓の働きや腸の働きが記憶力をはじめとする認知機能に影響していることも明らかになってきました。したがって、①健康診断を定期的に受けて動脈硬化の予防や心臓の調子を確認し、必要であれば治療する、②暴飲暴食を避け腸の調子を整えておく、③生活リズムを整え、睡眠をしっかりとるとともに運動などで体力を維持する、などが記憶力を維持する重要な対策といえます。(後略)

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